UDF2.5/UDF2.6ファイルシステム「UDF2.0X・UDF2.5・UDF2.6」

UDF(Universal Disk Format)と光ディスクの関係

光ディスクの規格はとても複雑です。複雑であることをユーザからは見えないようになっているため、実質がどのようになっているのかユーザには大変分かりにくいと思います。
弊社は1990年から数多くの組込み機器にUDFを実装して参りました。そこで少しUDFと光ディスクの関係をご説明して少しでも多くの方にご理解いただければと思います。

さて、この光ディスクを説明するうえで必要な用語として、ここでは以下のように単語に制限をします。

DVD : DVDメディアや、DVDドライブなどのハードウェアを表します。
DVD規格 : 1995年から規格作りが始まり、DVDのハードウェア規格、さらにファイルシステム規格、アプリケーション規格があります。
BDA規格 : DVD規格と同様に、BD(Blu-ray Disc)の規格全体を意味します。
UDF規格 : ECMA167からUDF規格が始まり、OSTA団体でUDF規格したものです。光ディスクのファイルシステムの規格を意味します。

規格の含有は以下の通りです。

UDF規格には、バージョン1.0X, 2.0X, 2.5, 2.6 があります。
また光ディスクには、以下多くの規格があります。

  • CD-ROM,CD-R,CD-RW,
    DVD-ROM,DVD-RW,DVD-RAM,DVD+R,DVD+RW,DVD-R — DVD規格のハードウェア規格
  • BD-ROM,BD-R,BD-RE — BD規格のハードウェア規格
  • (HD DVD-ROM,HD DVD-R, HD DVD-RW, HD DVD-RAM) — DVD規格のハードウェア規格

(DL,TLなどの多重層は省略します)。

MO(Magneto-Optical disc)や、PD(Phase-change Disc)なども光ディスクです。
以前は、光ディスクはさらに種類が増えるという発表もありました。

UDFはファイルシステム部分、光ディスクはハードウェア部分、と完全に規格上分けることができます。
通常PCでは、NTFS,FAT32,exFATなどでHDDをフォーマットするというように、HDD(ハードウェア部分)とNTFS,FAT32,exFAT(ファイル
システム部分)は基本的に組み合わせが自由です。
(ただ、FAT32は32GB以上の場合は容易にはフォーマットできない、といったことはありますが。)
光ディスクとUDFについても同様と考えます。

これらを単純に組み合わせると、4(UDF種類) x 12(光ディスク種類)の組み合わせになります。

当然再生側は、これら全部の組み合わせに対応する必要があるのか、となりますが、実際にはここまでの組み合わせはありません。しかし、UDFのバージョン以外に隠れたUDFの4種類の形式がそれぞれ同じバージョン番号に含まれています。
UDFの4種類の形式は以下の通りです。
これはUDF2.0X,UDF2.5とUDF2.6に対応します。
単にUDF2.5と言っても4種類のいずれかの形式であるのかを指定する必要があります。

  • ROM形式
    VIDEO形式とも言われている。映画などのリッチコンテンツはこのフォーマット。安いDVDプレーヤでもこのファイルシステムだけはサポートしている。よってこのファイルシステムにしておくと、どのような機器でも読める場合がある(アプリケーション層が違う場合は結果的によめない)
  • VAT形式
    Rメディアのように1度しか書けないメディアで追記型書き込みと言われている。Rメディアで放送波を録画する場合はこの方式のケースが多い。この形式ではファイルを消すという操作をしても一度しか書けないところに既に書いたので消すことはできません。通常消した部分を読まなくてもつじつまが合う程度の消し方と思ったほうがよいでしょう。弊社ツールを使えば、すべての履歴毎にすべてのファイルを取り出すことができます。
  • Sparing形式
    RWなどのような書込み制限の回数が低いメディアでの書き込み方式。
    最近はあまり使われない。(読めないOSもある)
  • RAM形式
    HDDのようにランダムアクセスする読み書き方式。
    最近はメディアの販売数も少なくあまりありません。

UDF1.0Xは2種類で、上記先頭の2つ(ROM形式、VAT形式)です。
UDF1.0Xはさらに細かく分けると、ISO9660、ISO9660ブリッジ、JULIET、ROMEOなどありさらに複雑です。
UDF1.0XはPCで読めたり読めなかったりと古いOSでは互換性がないことがありました。特に、VAT形式は3rdパーティーの会社が好き勝手に作ったためほとんど互換性がなくVAT形式で書いてもそのPC上だけで読み書きできるという風潮がありました。

現在は3rdパーティーの会社のソフトウェアを使うこともなくWindowsOSだけでできるようになりましたのである程度問題なく読み書きできるようになっているようです。
UDF1.0Xに関してはここでは割愛します。

UDF2.0X以降の同じバージョンでも隠れた4つの形式や光ディスクの種類から組み合わせが爆発する程多くなっています。

実際に全部の組み合わせをサポートしているような機器は存在しないようです。機器のメーカがこの組み合わせに制限をかけており(∵メーカではテストしきれないから)、UDFの形式と光ディスクの組み合わせはそれほど多くはありません。DVD規格、BDA規格はこの組み合わせを制限しています。ハードウェアと、ファイルシステムと、アプリケーションのこの3つの組み合わせのパターンを制限することで録再機器や、再生機器で互換性が取れやすくしています。

しかしながらWindows7以降のPCは数多くの組み合わせに対応しています。上記のDVD規格、BDA規格制限しているものを無視し、できる限りの組み合わせで読み書きできるようにしています。

PCで読めるのに、録再機器で再生できないというのはこのことから当然で、PCはいろいろな組み合わせで再生(読める)ようにしてありますが、機器はそこまで作られていないことが理由です。 

コンテンツ保護機能などがない場合であれば、録再機器で再生できるものは逆にPCでもExplorerでファイルリストなどを必ずみることができることを意味しています。

よって、PCで読むだけなのか、録再機器、再生機器だけで読めるようにするのかなど、ターゲットを絞ることですべてのUDFの全部のファイルシステムを対応する必要がない可能性があります。

弊社のUDF2.5の組込み機器の例の1つとしては、監視カメラの映像をHDDから光ディスクにコピーするという製品のファイルシステムを担当しています。この場合は使用法として光ディスクに書いたメディアはPCでしか読まないというものでした。また、映像データが大きいため書き込みに時間がかかることから、中断などしても、そこまでの映像をコピーしたいという要望から、VATでのファイルシステムにしています。中断ボタンが押されるか、またはコピーが終わるまで映像ファイルを書き、どちらにしてもコピーした部分までの映像がPCで見られるというファイルシステムです。たとえばこれをROM形式でコピーするとしたら、中断した場合には途中までの映像は見ることができず、メディア自体を無駄にしてしまいます。これを使って、BDの100GBメディアまで対応しています。

UDFのRAM形式は、対応している光ディスクの種類が最も少なく、DVD-RAM,HD DVD-RAM,BD-RE程度です。Sparing形式を使えるのは、DVD-RW,HD-DVD RW,BD-REです。これらに関してはメディアの供給量がすくないためここでは割愛します。

問題はVAT形式と、ROM形式はどちらも同じように扱え、DVD-R,DVD-RW,BD-R,BD-REで使えます(BD-REで使えるのは、BDA規格外です) ROM形式のみというのは、DVD-ROM(DVD-VIDEO)や、BD-ROM(BD-VIDEO)です。

UDFの規格として光ディスクの特徴に合わせたファイルシステムが選択できるようになっていて、形式が4種類であっても上記のように制限される(というよりも規格上上記以外の組み合わせはできない)ことになります。
現在の光ディスクの種別としては、R形式が90%以上を占め、その他にRW形式が少しといった程度のようですので、これらを中心に説明します。これらのUDFの形式は

R:VAT形式とVIDEO形式
RW:VAT形式、VIDEO形式、Sparing形式

と限定されます。

上記の結果から、機器としてR,RWを対応するファイルシステムを実装する場合、読込みに対応するとなれば、VAT,VIDEO,Sparingの3種類の対応を行う必要があります。

また、書込みのみというのであれば、VAT,VIDEOのどちらかまたは両方を対応すれば足りるということになります。VATかVIDEOのどちらを選択するかというのは、場合によっては選択の余地がない場合もあります。

また、不明な1つのメディアからどのUDFのフォーマットになっているのかを調べるにはどうしたらよいでしょうか。

これを調べるのは実は簡単ではありません。弊社の解析ソフトウェアなどを使えば簡単なのですが一般的には次の方法で調べることができる場合があります(間違っている場合もあるので必ずわかるわけではありません)。

  • Windows7以上のPCで光ディスクのプロパティをみるとファイルシステムの種類がわかります。UDF2.0、UDF1.0などが表示されます。
  • ImgBurnというソフトウェアがあります。これを使って光ディスクからreadする処理を行うとファイルシステムのバージョンなどが表示されます。UDFのバージョンなどが表示されるはずです。

簡単に調べることができるのは上記の方法以外にありません。ただ、上記方法が間違っている場合についてですが、たとえば、UDFのバージョンの数字が書かれている個所は数か所ありますが、その部分を間違えて書き換変えているような場合(これはよくあることです)でその間違った部分だけを読み表示している場合などがあります。バージョンとフォーマットの不整合というのはよくあることですので上記だけでは正確なことがいえません。


弊社のUDF関連製品

  • HDD付の録再DVDレコーダー
    DVDのファイルシステム(UDF2.0X)と内蔵HDDのファイルシステム(UDF2.0Xを少し改良)したファイルシステムで実現
  • HDD付の録再DVDレコーダー
    上記とほぼ同じで、Sparing形式、VAT形式をサポートした。しかし一般市場での製品公開はされず。
  • WindowsXP用UDF2.5ファイルシステムドライバ
    ある会社向けにUDF2.5のファイルシステムドライバをWindowsXP向けに実装し、UDF2.5 のVIDEO、VAT、Sparingの3種類を対応している。実際に有効になっているのは、VIDEOのみでほかのファイルシステムは有効になってない。これがあるとこから誰でもコピーできるような状況になり世界中で使われている。
  • ハリウッド向けHD DVDコンテンツメディア作成ソフトウェア
    ハリウッド向けに映画などのリッチコンテンツをHDDVDに書くためのメディアイメージを作成するソフトゥエア。これが弊社のソフトウェアで作成した証として、UDFのDeveloper IDの項目には弊社名が入っています。ハリウッド大手3社のコンテンツはすべて弊社ソフトウェアで作られていましたので100コンテンツ程度は弊社ソフトウェアで作られたものです。ただしHD DVDは収束しましたので新規にこれらの機器に関して入手できなくなっています。
  • 監視カメラの録画機器
    複数台の監視カメラの映像を録画する機器で、録画した映像を光ディスク(DVD,BD)にコピーするファイルシステム弊社が実現しています。コピーした光ディスクはすべてPC向けですのでPCで読めるように(DVD,BD規格外になる場合がある)してあります。もともとAt OnceのVIDEO形式で書き込む機器の設計だったが、書き込みの時間がかなりかかることから中断してもそこまで書き込んだ映像を見られるようにしたいという要望で、VAT形式でファイルを保存することにしています。そのため、中断するまで、または最後までの書き込んだところまでがPCでみることができるようになっています。VIDEO形式の場合には中断するとその光ディスク全体が読めないという問題からの解決となっています。
  • Media Analyzer for UDF (UDFファイルシステムのVerifier)
    UDF規格は、ECMA167から始まりOSTA規格と引き継がれてきています。また、DVD規格(BD規格)はUDF規格を制限したものとなっています。これらのsubsetの規格が沢山ありどの規格に合っているかを手作業で確認するのは不可能に近い状況です。
    PCで読めたからとか、機器で読み書きできたからといって規格に合っているとは限りません。
    そのため、UDFのどの規格でチェックしているのかを明確にし、規格に合っているかどうかを判断する必要があります。