石田まことのWEBマーケティング論 第2回

第2回   お客さまのペースに入りこむことができるか。

Webビジネスにおいて、顧客のデータをいかに収集し活用するかというのは、なかなか難しい問題です。
ネットショップでいうところの注文の時の個人情報入力や、Webサービスでネットショップでいうところの注文の時の個人情報入力や、Webサービスでの会員登録などの顧客データ以外で有効なのが、「お客さまのペースに入りこむ、利用時間の把握」です。していかに真摯に向き合うか、これが重要になるのです。

■ 丁寧すぎるクリーニング店。

 僕がいつも利用しているクリーニング店があります。
営業時間も他のお店と同じ、値段も他のお店とほぼ同じ、ただ自宅から最寄り駅までのルート内にある、というだけの理由で利用しています。

 このクリーニング店ですが、僕にとって困ったことが1つだけあるのです。
それは、店員さんの対応が「丁寧すぎる」こと。

 入店するとまず深々と一礼。そして「いらっしゃいませ」のひと言、はもちろん良いのですが、ワイシャツ1枚1枚、「こちら気になる部分はございますか?」と細かいチェックが入ります。会員カードを手渡すと、「石田さま、いつもありがとうございます」のひと言。次回のキャンペーン情報も『ゆっくりわかりやすく』説明してくれます。

非常に対応が丁寧で、社員教育のいきわたっているクリーニング店です。「困ったこと」という表現を使う僕が申し訳ないくらいです。

■ なぜ僕は困るのか

 でも、なぜ僕は困っているか。

 なぜなら、僕は早く駅に向かいたいのです。
「はい、お預かりしますね~!」のひと言とお会計だけを、パパパっと済ましていただければ十分なの
です。

 つまり、スピードを求めるお客さまの顧客満足度には応えられていない、ということになります。

 この問題を解決するためには、お客さまアンケートを実施するという方法がありますが、「いつ何時のどのような事象において」スピードを求められているのかは、アンケートからは推し量れません。もちろん、スピード重視の運営スタイルに変えれば、いままでのお客さまが離れていく可能性もあります。

 できれば、お客さまとその状況によって対応を変えたいものです。しかし、それはなかなか難しい。

そこでまず一手として考えたいのが、お客さまのペースを把握することです。

 お客さまが時間帯によって、どういう動きを求めているのか、そこをノウハウ化します。
例えば、開店~11時までのお客さまは通勤の可能性が高いので、スピード重視。11時~16時までは丁寧に、会話も交えながら。16時~閉店までは再びスピード重視。というようにです。

重要なのは、お客さまのペースに『こちらから』入り込むということです。

■ あなたのWebビジネスではどうですか?

 これからのWebビジネスでは、注文時の個人情報、会員登録のデータ管理と分析だけでなく、お客さまの傾向を読むことのできるデータをいかに集めるか活用できるか、がポイントになります。

 アンケートに、あえてマイナス点を挙げるとすれば「意識」して記入するものであることです。どうしても、意見に多少のバイアスがかかってしまいます。
逆に、「いつ商品を購入していただけたか」「いつサービスを利用していただけたか」「メールの返信はいつ頃か。早いか遅いか」など、利用時間の情報はお客さまの「無意識」の行動(つまりペース)であるため、データとして有用性が高くなります。

あくまで、お客さまのペースにいかに『こちらから』入り込めるかを考えましょう。

 そうすれば、「いつメルマガを配信すると読んでもらいやすいか」「メールの返信はいつまでにしなければいけないか」「各々のサービスの更新時間はいつが適当か」などがデータから読めてきます。

人の「無意識」の行動にこそ、宝物が埋まっているのです。

 それにしても、実商売における『立地』という概念は凄いです。
自宅の近くには5つほどクリーニング店があるのですが、単に最寄駅から近いというだけの理由で、このクリーニング店を利用しています。

釈迦に説法かと思いますが、Webビジネスには『立地』という概念はありません。
お忘れなく。

プロフィール
早稲田大学第一文学部卒業後、インターネット通販ベンチャーに6年間勤務。
ネットショップ店長として、仕入・マーケティング・システム構築・物流などを1人でこなし、1年間で売上7,000%アップ、年商3億円を実現。ヤフーショッピング貴金属カテゴリ全国第一位を獲得。
インターネット通販を中心としたマーケティング支援/マーケティング人財の育成を目的とした株式会社ECマーケティング人財育成を設立。
有力EC/Web企業を支援。船橋情報ビジネス専門学校特別講師など人材育成にも注力。
その他、商工会議所での講演、新聞やWebでの連載など。

[会社名]
株式会社ECマーケティング
人財育成

[URL]
http://www.ecmj.co.jp/